燃料及びバイオ燃料は望ましくない化合物を形成する不安定な種を含んでいる場合があります。燃料装置に運ばれたこれらの望ましくない化合物(ガムもしくは不溶物)は、誤動作や故障に繋がります。燃料を安定させるため、酸化防止剤及び安定剤が開発され、使用されています。
ガソリン用酸化防止剤
ガソリンにはオレフィンやジエンのような不安定な種を含み、これらが重合してガムを生成する場合があります。燃料装置において、ガムは噴射装置を詰まらせ、吸気弁の堆積物となります。
ガソリンに含まれる不安定な種は、酸素と結合するフリーラジカルを生成し、連鎖反応の中で更なるフリーラジカルを生成して、ガムを生成するオレフィン化合物と反応します。封じ込められていないと、この酸化連鎖反応が急増し、更なるフリーラジカルおよび/または過酸化物を生成します。酸化防止剤は連鎖成長段階を妨害し、過酸化物を分解し、フリーラジカル捕獲として機能します。ヒンダードフェノールは、例えばフリーラジカルが更に増殖することのない安定したヒンダードラジカルを形成することを阻害します。典型的な処理率は8~100mg/kgです。
ディーゼル燃料及び暖房燃料用酸化防止剤及び安定剤
ディーゼル燃料もしくは暖房用燃料は、長期に亘り保管されることが多く、その保管期間中も使用に適した状態を保つことが最も重要です。原油バレルから得るディーゼル燃料の割合を増やすための石油精製工程には、オレフィンと、直流分よりも多くの窒素及び硫黄化合物を含む細かい材料を使用します。オレフィンのような不安定な種を含めると、ガムを生成する重合が起こり、その一方で窒素及び硫黄化合物と有機酸は結合して堆積物を形成します。製油所での燃料の広範囲に及ぶ脱硫により、窒素及び硫黄化合物を含む反応は、ディーゼル燃料が過酸化の影響を受けやすくする可能性があり、結果としてガムが形成されることに繋がります。バイオディーゼル(脂肪酸メチルエステル)の導入は、不飽和脂肪酸が存在することに繋がる不安定さの要因となっています。
ガソリンに関しては、ガムは通常望ましくないものとされ、ディーゼル燃料装置では堆積物により、自動車の操作性と密接な関係のある燃料フィルターの詰まりを引き起こします。
安定性向上剤は、窒素及び硫黄化合物と有機酸の間で起こる酸塩基反応を阻害し、溶性反応物質を優先的に生成し、堆積物の形成を防ぎます。ガソリンの場合、ディーゼル燃料に含まれる不安定な種は酸素と結合するフリーラジカルを生成し、連鎖反応の中で更なるフリーラジカルを生成して、ガムを生成するオレフィン化合物と反応します。酸化防止剤は分岐反応を阻害し、あるいはフリーラジカルが更に増殖することのない安定したヒンダードラジカルを形成することを阻害します。典型的な処理率は20~200mg/kgです。
TotalEnergies AFSの酸化防止剤及び安定剤製品
こちらのTEAFS添加剤製品は、ガソリンと、ディーゼル燃料及びディーゼル燃料内に脂肪酸メチルエステルのようなバイオ成分を含む/含まない暖房用燃料を処理するために開発されました。ヒンダードフェノール系化合物を基にしたAOBシリーズは、特に脂肪酸メチルエステル及び純脂肪酸メチルエステル(B100)を含むディーゼル燃料を安定させるのに効果的です。酸化安定性の評価方法は、ランシマット法(EN 15751)及びISO 12205(ASTM D2274)を参照しています。この製品はガソリンの安定化にも使用することができます。
BBシリーズはヒンダードフェノール系化合物及び分散剤を基にしています。このシリーズはバイオ燃料の酸化安定特性を長期に亘って維持するために開発されましたが、安定特性の低いバイオディーゼルを仕様に適合できるようにしてくれます。
TotalEnergies AFSの酸化防止剤と安定剤は、他の燃料特性(低温流動性、セタン価、潤滑性等)を阻害しません。